100分de名著 アドラー「人生の意味の心理学」  第1回 人生を変える「逆転の発想」 感想

100分de名著 アドラー「人生の意味の心理学」  第1回 人生を変える「逆転の発想」

感想

 

 

アドラーとは?

    ルフレッド・アドラー (1870~1937)

     オーストリア出身のユダヤ人

            フロイトユングと並ぶ心理学の三大巨頭

 

出演者 司会 武内 陶子

       伊集院 光

    ゲスト 岸見 一郎 (哲学者・カウンセラー)

 

 

アドラー心理学とは?

   「もしこのアドラーの考えが浸透すれば、個人の人生はもとより世界が変わる。

    生きずらいと思ってる人はまずこの本を読んでから自分の生き方を見直さない

    ともったいない」と岸見氏は言う。

    アドラー心理学は個人心理学。

    この「個人」という言葉には、『分割できない』という意味がある。
    ひとは心と身体などがバラバラに分割されるのではなく、

    分割できないひとつの個人である。

    それを踏まえて、どう生きていくのかを指南しています。

    また、アドラー心理学は『実践の心理学』でもあります。
    一般的な『分析・観察』を主とした心理学とは違い、

     『どうすれば幸福になれるのか』という部分に重きをおいています。
    ただし、それを実践するには『勇気』が必要。
    この『勇気』という言葉が、アドラー心理学においてとても重要なキーワード

    になります。

 

フロイトとの比較

   ここでは、心理学の世界で有名な「ジームクント・フロイト」の考え方と、

   アドラー心理学との比較をしてみよう。

   フロイトは、リビドー(性的欲動)が人間のパーソナリティ基礎を形成すると考

   えた。

   対するアドラーは、リビドーに代わるものとして「劣等感」を提唱した。

    劣等感は神経症につながることもあるが、人生に立ち向かう力をも生み出すと

    考えた。

    第一次世界大戦の中でも、二人の違いがはっきり出ている。

    フロイトが『なぜ人間は闘うのか?』という目線から、『人間には攻撃欲求が

    ある』と定義した。
    アドラーは『闘わないためには何をすべきか』という目線から、『人間は仲間

    である」という考えに達している。

    

人は主観的な世界に住んでいる

  

  ここで番組内で寸劇が始まる。

  舞台は、岩松了演じる安土羅先生の安土羅診療所。 

   先生が配ったチラシを手に持った女子高生が診療所に立ち寄った。

  チラシにはこう書かれている。

   

     人は変われる

     世界はシンプルである 

      誰もが幸福になれる!

 

  来院して早々チラシの内容に反発する女子高生。

 「世界も人間ももっと複雑だ」と主張。

  それに対し安土羅先生は、「世界が複雑なのではなく、あなたが世界を

 複雑にしているとしたらどうかな?」と問う。

  女子高生は即座に否定する。

 

 安土羅:問題は、世界がどうかではなく、君自身がどうかなのだからね。 

 

   人は客観的な世界ではなく

    主観的な世界に住んでいる

 

 安土羅:だから人はこの瞬間からでも人は変われるんです。

女子高生:冗談言わないでよ。

        人は変われないから変わりたいと思うんでしょ。

 安土羅:もし変われないとすると、残念ながら君が変わりたくないからに他ならな                       い。

 

 ここまでの二人のやり取りを見て、安土羅先生の言葉に拒否反応を示した方も多いのではないだろうか。 変わらないという決心を自分でしているというのだから。

 屁理屈のようにも思える。

では引き続き、二人の会話を聞いてみよう。

 

女子高生:そんな…。 先生になにがわかるのよ。

        私はともかく、うちのお兄ちゃんなんか5年間ずっと家にとじこもって。

        いじめとか受験の記憶とか、いろんな理由があって外の世界に出られない

                  でいるの。 何にだってそれなりの理由があるんだから。

 安土羅:ちょっと待ちたまえ、あらゆる結果に原因があるという考え方がすでに

     おかしいんだよ。 

      過去の目的からではなく、今の目的から考えることだよ。

女子高生:目的?

 安土羅:お兄さんは不安だから外に出たくないのではなく、外に出たくない           から、不安という感情をつくりだしているのじゃないのかな?

    

 

 

「目的論」と「原因論」

 

 

ここまで聞いて怒りだしてしまった人もいるだろう。

引きこもりの原因を本人がつくりだしているというのだから。

 一般的に引きこもりをはじめとする問題行動には、過去にトラウマとなる出来事に遭遇して心に傷を負い、そこに至るとされている。 これを「原因論」という。

 が、アドラー心理学では明確にこれを否定している。

引きこもりを例に挙げるとアドラーは、「外に出たくない」という目的を叶えるために不安という感情をつくりだしていると主張している。

 アドラーのこの考え方を「目的論」と呼ばれている。

 安土羅先生は女子高生に、「原因にとらわれていたら一歩も前には進めない。

原因ではなく、目的に目を向けなくてはならない。 人生はすべてあなたが決めているのだから」と説いた。

 

 

「ライフスタイル」とは?

  ・自分のことを自分がどうみているか?       (自己概念)

  ・他社を含む世界の現状についてどう思っているか? (世界像)

  ・自分及び世界についてどんな理想を抱いているか? (自己理想)

 

 一般的には「性格」と言い表わされている。

性格には「もって生まれたもの」「変えがたいもの」とされているので、

アドラー心理学においては「ライフスタイル」という。

 

例を挙げてみよう。

  好意を抱く相手が向こうから歩いてきたとする。

 しかし相手は、すれちがいざまに目を逸らしてしまう。

  それをどう意味づけするか?

    

    例:①私を嫌っている 

       ②目にゴミが入った

       ③私を好きで、目を逸らした

 

①を選ぶ場合

   「私なんか相手にされていない」と解釈するという目的が先にあり、

   何もアクションを起こさない。

 

②③の場合

   「話しかける」という次のアクションに出る必要がある。

 

 話しかけた場合でも、無視されるかもしれない。

付き合えても、この先フラれないとも限らない。

 その可能性も理解しつつ、話しかけるという「勇気」がいる。

①を選んだ場合未知の世界に踏み出すのを、恐れている。

 色々不満があっても現状を維持したほうが楽だから。

冒頭で、「実践するには勇気がいる」と書いたのはこのためだ。

人はすぐにでも変われるのに「変わらない」決心をしている。

 ではこの決心をどうやって変えればいいのか?

   

   ・自分のライフスタイルを意識下する

   ・どんなライフスタイルに変えたいかを知る

   ・変えるには「勇気」がいる

 

アドラー曰く、「3日あれば人間は変われる」

 

  人生は困難なのではない

  あなたが人生を困難にしているのだ

  人生はきわめてシンプルである

                   byアドラー